コラム

事故物件はリフォームすべき?費用相場と必要な工事・売却方法

事故物件を売却しようとすると、不動産会社からリフォームを勧められたり、特殊清掃や修繕にまとまった費用が必要になったりすることがあります。「きれいにしてから売ったほうがよいのか」「高額なリフォーム費用をかけても回収できるのか」と迷う方もいるでしょう。

事故物件のリフォームでは、事故による汚染や臭気を除去して建物を適切な状態にするための工事と、買主の心理的な抵抗を抑えて売却しやすくするための工事を分けて考えることが大切です。

本記事では、事故物件をどこまで清掃・リフォームする必要があるのか、一般的な費用相場や売却前リフォームの費用対効果を解説します。あわせて、仲介で売却するために高額なリフォーム費用を負担するのが難しい場合の選択肢として、事故物件専門業者による買取についても紹介します。

 

この記事でわかること

  • 事故物件で必要なリフォーム範囲
  • 売却目的のリフォームの判断基準
  • リフォーム・特殊清掃の費用相場
  • 売却前リフォームの費用対効果
  • リフォームせず売却する方法

事故物件のリフォームは目的を分けて考える

事故物件のリフォーム目的を比較しながら考える人物のイラスト

事故物件でリフォームを検討する目的は、大きく次の2つに分けられます。

 

  • 建物の状態を適切に保つため
  • 売却しやすい状態に整えるため

 

1つ目は、体液や腐敗物などによる汚染や臭気を除去し、建物への影響を抑えるための工事です。汚染が表面にとどまっていれば特殊清掃だけで対応できることもありますが、床材や壁材、下地まで浸透していれば、建材の撤去や交換が必要になることもあります。

2つ目は、建物を維持するために必要な工事とは別に、事故の痕跡が目に見えることで買主が心理的な抵抗を感じる場合などに行うリフォームです。

この2つでは工事を行う理由が異なります。事故が起きたからと一律に同じ範囲をリフォームするのではなく、まず建物の状態を確認し、そのうえで売却時にどこまで手を入れるかを考えましょう。

事故物件はどこまで清掃・リフォームする?

事故物件の状態を確認しながら必要な修繕範囲を考える作業員のイラスト

事故物件で必要になる清掃やリフォームの範囲は、汚染の程度だけでなく、建物への影響や売却時の見え方によっても異なります。

そのため、建物を適切な状態に保つために必要な工事と、買主の心理的な抵抗を抑えるための工事を分けて考えましょう。

2-1. 建物を適切な状態にするためのリフォーム

建物を適切な状態にするための工事は、事故による汚染がどこまで及んでいるかによって変わります。

状態 作業内容の目安
① 汚染が表面にとどまり、洗浄や脱臭で除去できる 洗浄・消毒・脱臭などの特殊清掃
② 体液などが床材・壁材まで浸透している 汚染された仕上げ材の撤去・交換
③ 下地・床下・壁内部まで汚染している 下地等の処理・撤去・交換を含む修繕

①のように表面の汚染までであれば、特殊清掃によって汚染源や臭気を除去できる場合があります。

②まで進むと、表面清掃だけでは汚染源が残るおそれがあるため、床材や壁材などの撤去・交換が必要です。

③のように下地や床下、壁内部まで浸透している場合は、仕上げ材だけでなく内部の建材まで処置します。木質系の下地などでは、汚染を放置することで変色や腐食が生じることもあるためです。

建物を適切な状態にするためのリフォームでは、見た目だけで判断せず、汚染がどこまで及んでいるかを確認し、建物への影響を防ぐために必要な範囲まで対応することが大切です。

2-2. 売却のためのリフォーム

建物への影響がなく、物理的には交換する必要がない箇所でも、事故による染みや変色などが目に見える状態で残っていると、内覧した買主が心理的な抵抗を感じることがあります。

このような場合は、建物を維持するための工事とは別に、汚染跡が残る壁紙や床材などを交換するか検討します。

ただし、売却前にできる限りきれいにしておけばよいというわけでもありません。

売主が費用をかけて床や壁を交換しても、買主が購入後にリフォームすることを想定して物件を探している場合、先に行った工事が無駄になる可能性があるためです。

国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査では、中古住宅を購入したあとにリフォームした、または1年以内にリフォームする予定の世帯は、中古戸建てで43.0%、中古集合住宅で30.2%でした。中古住宅では、購入後に自分の好みに合わせてリフォームする買主も一定数いることがわかります。

こうした買主のニーズを考えると、売主側であらかじめ大きな費用をかけてリフォームするのが適しているとは限りません。不動産会社に査定を依頼する際に、現状のままでも売却できそうか、事故の痕跡が内覧時の印象や成約にどの程度影響しそうかを相談してみるとよいでしょう。

リフォーム費用をできるだけ抑えたい場合は、建物の状態を保つために必要な処置だけ済ませて一度売り出し、問い合わせや内覧時の反応を見ながら、必要に応じて追加でリフォームする方法もあります。

 

事故物件のリフォームにかかる費用

事故物件のリフォーム費用を電卓で確認する人物のイラスト

事故物件のリフォーム費用は、施工する箇所や範囲に加え、特殊清掃や汚染箇所への処置が必要かによっても変わります。また、売却を目的にリフォームする場合は、工事費用だけでなく、売却価格やその他の費用を含めて費用対効果を考えることも重要です。

3-1. 一般的なリフォーム費用の相場

事故物件でも、壁紙や床材の張り替え、住宅設備の交換といった一般的なリフォーム部分については、通常の住宅と同様の費用相場が参考になります。

主なリフォーム費用の目安は以下のとおりです。

リフォーム内容 費用の目安
クロス張り替え(10畳) 約5万~11万円
フローリング張り替え(10畳) 約12万~20万円
天井張り替え(10畳) 約4万~10万円
システムキッチンの交換 約50万~100万円
浴室 約60万~150万円
トイレ 約21万~60万円
洗面所 約20万~50万円

※実際の費用は、施工面積や使用する建材・設備のグレード、既存設備の状態などによって変わります。

住宅全体のリフォームでは、住宅リフォーム推進協議会の2024年度調査で、実施者が回答したリフォーム費用の平均は一戸建て506.2万円、マンション336.1万円でした(部分的な修繕から大規模な改修までを含む平均)。

ただし、事故物件では、汚染の程度によって一般的なリフォームだけでは済まないことがあります。たとえば、体液が床の下地まで浸透していれば、通常のフローリングの張り替えに加えて、汚染された建材の撤去・処分や下地の処理・交換などが必要となるため、一般的なリフォーム相場より費用が膨らむことがあります。

また、リフォームに着手する前に特殊清掃が必要なケースもあります。特殊清掃の費用は物件の広さだけでなく、発見までの期間、体液の広がり、臭気、害虫の発生状況などによって大きく変わります。費用の目安は、ワンルーム・1Kで3万~20万円、1LDK・2Kや2LDK・3Kで10万~30万円、3LDK以上で20万円以上です。

実際には、リフォーム工事と汚染箇所への処置をあわせて施工することもあるため、事故の状況を伝えたうえで見積もりを取り、必要な工事と総額を確認しましょう。

 

3-2. 売却前リフォームの費用対効果

売却前にリフォームするかどうかは、工事費だけを見るのではなく、現状の査定額や売却にかかる費用も踏まえて、費用をかけるメリットがあるかを判断することが大切です。

事故物件は、事故の内容や発見状況によって売却価格への影響が異なります。売却時の値引き率の目安は、次のとおりです。

事故の内容 通常相場からの値引き率の目安
孤独死(自然死・病死で発見が早い) 1~2割程度
孤独死(発見が遅れ、特殊清掃が必要) 2~3割程度
自殺・他殺など 3~5割程度

実際の売却価格は、立地や築年数、物件の状態、事故の内容や発見状況などによって変わります。

さらに、仲介で売却する場合は、特殊清掃費や必要に応じたリフォーム費のほか、仲介手数料などの売却費用もかかります。事故物件は買主が見つかるまで時間を要することもあり、売却期間が長くなれば、その間の固定資産税や、マンションであれば管理費・修繕積立金などの負担も続きます。

こうした費用まで含めて考えるため、リフォームの見積もりを取る際は、不動産会社に物件の査定も依頼するとよいでしょう。現状の査定額を把握したうえで、リフォームによって売れやすさや価格にどの程度影響しそうかを相談すれば、高額な工事費をかける必要があるか判断しやすくなります。

 

3-2-1. 概算ならAI査定を利用する方法も

不動産会社へ査定を依頼する前におおよその価格を知りたい場合は、AI査定を利用する方法もあります。物件情報を入力するだけで短時間で査定結果を確認できるため、まず相場感をつかみたいときや、リフォーム費用と売却価格を大まかに比較したいときに便利です。

ただし、AI査定は過去の取引データや物件情報などをもとに価格を算出するため、基本的には事故の内容や発見までの期間といった心理的瑕疵を加味した価格を出すことはできませんそのため、AI査定で通常物件としてのおおよその価格を確認し、そこから事故内容に応じた値下がり率を踏まえて売却価格の目安を考えるとよいでしょう。

 

リフォームしても事故物件の告知義務は変わらない

事故物件の告知義務について書類を見ながら確認する人物のイラスト

売却前にリフォーム費用をかけるか判断する際は、リフォーム後も事故物件としての告知義務(事故の事実を買主に伝える義務)が続くことも考えておく必要があります。

国土交通省のガイドラインにおける告知義務は、買主が物件を購入するかどうかの判断に重要な影響を及ぼす事実を伝えるという考え方が基本です。たとえリフォームによって染みや臭気を取り除き、室内をきれいにしたとしても、その物件で人が亡くなったという事実自体が買主の判断を左右する可能性があります。そのため、告知対象となる事故の事実は、リフォーム後も買主へ伝える必要があります。

特に売買は取引金額が大きく、購入後に事故の事実を知ったとしても、簡単に転居したり物件を手放したりできるものではありません。こうした売買取引の性質から、告知対象となる事故物件は、年月が経過していても基本的に告知が必要と考えておく必要があります。

そのため、「リフォームできれいにすれば問題ない」「何年か経ってから売ればよい」と考えて、高額なリフォームを安易に進めるのは避けたいところです。売却目的でリフォームする場合は、工事後も告知義務が続くことを前提に、費用をかけるメリットがあるかを検討しましょう。

 

リフォームの負担を抑えて売却するなら買取も選択肢

事故物件を不動産会社へ直接売却するイメージのイラスト

リフォーム費用を負担するのが難しく、かといって現状のまま売り出せる状態でもない場合や、できるだけ早く手放したい場合は、事故物件を扱う買取業者へ直接売却する方法もあります。

買取では、不動産会社が物件を直接買い取り、取得後に特殊清掃やリフォームを行って再販売します。そのため、売主が売却前にリフォームまで済ませる必要はありません。事故物件を専門に扱う業者のなかには、特殊清掃や遺品整理、残置物の処分までまとめて対応しているところもあります。

また、仲介のように一般の購入希望者を探したり、内覧や条件交渉を重ねたりする必要がないため、売却までの期間を短縮しやすいのも特徴です。不動産会社による直接買取なら、仲介手数料もかかりません。

ただし、買取業者は取得後の特殊清掃やリフォーム、再販売にかかる費用を見込んで査定するため、買取価格は仲介で売却する場合より低くなる傾向があります。

少しでも高く売ることを優先するなら仲介、リフォーム費用や手配の負担を減らし、早く手放すことを優先するなら買取というように、売却価格だけでなく費用・手間・売却までの期間も含めて選びましょう。

 

まとめ:事故物件のリフォームは売却方法も含めて検討しよう

事故物件の売却前に確認したいポイントを整理するチェックリストのイラスト

 

この記事のまとめ

  • 事故物件のリフォームは、建物を適切な状態にする工事と売却目的の工事を分けて考える
  • 汚染が建材内部まで及んでいる場合は、汚染箇所の撤去・修繕が必要になることがある
  • 売却目的のリフォームは、買主のニーズや現状の査定額を踏まえて判断する
  • リフォーム後も事故物件の告知義務は続くため、高額な工事を安易に進めない
  • 費用や手間を抑えて早く手放したい場合は、事故物件専門業者による買取も選択肢になる

事故物件のリフォームは、建物の状態を保つために必要な工事と、売却しやすくするための工事を分けて考えることが大切です。高額なリフォームを先に進める前に、現状の査定額や売却方法も含めて検討しましょう。

リフォーム費用の負担を抑えたい場合や、特殊清掃・残置物処分・工事の手配まで自分で進めるのが難しい場合は、事故物件専門業者による買取を利用すると、売却までの負担を減らしやすくなります。一般の買主を探す必要もないため、できるだけ早く手放したい場合にも向いています。

事故物件専門の買取サービス「ラクウル」では、特殊清掃やリフォーム前の現況でも査定・売却の相談が可能です。清掃・残置物撤去・リフォームの手配も行っており、必要書類がそろっていれば最短即日の決済にも対応しています。

「リフォームしてから売るべきか迷っている」「特殊清掃や片付けから任せたい」「できるだけ早く手放したい」という方は、まずはラクウルへご相談ください。


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宅地建物取引士の資格を持つ、事件・事故物件を専門に扱ってきた経験豊富なスタッフが執筆しています。
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この記事のまとめQ&A

事故物件は売却前にリフォームしたほうがよいですか?

必ずしも売却前に大規模なリフォームをする必要はありません。事故による汚染や臭気を除去して建物を適切な状態にするための工事と、売却しやすくするための工事を分けて考え、現状の査定額や買主のニーズも踏まえて判断することが大切です。

事故物件はどこまで清掃やリフォームが必要ですか?

汚染が表面にとどまっている場合は、洗浄・消毒・脱臭などの特殊清掃で対応できることがあります。体液などが床材や壁材まで浸透している場合は仕上げ材の撤去・交換、下地や床下、壁内部まで汚染している場合は内部の建材まで処置・交換する必要があります。

事故物件のリフォームや特殊清掃にはどのくらい費用がかかりますか?

一般的なリフォームでは、10畳のクロス張り替えが約5万~11万円、フローリング張り替えが約12万~20万円などが目安です。特殊清掃はワンルーム・1Kで3万~20万円、1LDK・2Kや2LDK・3Kで10万~30万円、3LDK以上で20万円以上が目安ですが、汚染や臭気の程度などによって費用は変わります。

事故物件をリフォームすれば告知義務はなくなりますか?

リフォームによって染みや臭気を取り除いても、告知対象となる事故の事実を買主へ伝える必要があります。売却目的でリフォームする場合は、工事後も告知義務が続くことを前提に、費用をかけるメリットがあるか検討しましょう。

事故物件はリフォームせずに売却できますか?

事故物件を扱う買取業者へ直接売却する方法があります。買取では、不動産会社が取得後に特殊清掃やリフォームを行うため、売主が売却前にリフォームまで済ませる必要はありません。ただし、買取価格は仲介で売却する場合より低くなる傾向があります。

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