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ご親族の逝去などに伴い特殊清掃が必要になったものの、業者から高額な見積もりを提示され「費用を払えない」とお困りではないでしょうか。突然のことで、まとまった現金を用意できず、どう対処すべきか途方に暮れてしまうかもしれません。しかし、特殊清掃費用が払えない場合でも、取れる選択肢は存在します。
この記事では、特殊清掃費用が支払えない場合の具体的な3つの解決策(①支払う方法を探す、②相続放棄する、③清掃せずに売却する)を解説します。
ご自身の状況に最適な選択肢を見つけ、冷静に次の行動へ移るための一助となれば幸いです。
本記事は、2025年12月時点で確認できる法令・制度・公表資料をもとに作成しています。
この記事でわかること
- 特殊清掃費用を工面する5つの方法
- 相続放棄で支払い義務を回避する際の注意点
- 特殊清掃なしで売却する方法
- 特殊清掃費用を支払う義務は誰にあるのか
- 特殊清掃費用の相場と高額になるケース
目次
【解決策1】支払う方法を探す

特殊清掃費用が払えない場合でも、いくつかの対処法が考えられます。この章では、支払いの負担を軽減したり、猶予を得たりするための具体的な5つの方法を紹介します。相続放棄や売却を検討する前に、まずはこちらの方法をご確認ください。
1.1 業者に分割払いや後払いを相談する
特殊清掃費用が一括で払えない場合、最も現実的な対処法は、契約前に清掃業者へ「分割払いや後払い」が可能か直接交渉することです。
特殊清掃は作業内容によって数十万円単位になることも珍しくありません。突然の出費であり、一括での支払いが難しいケースが多いことを、多くの専門業者は理解しています。そのため、契約前に支払い能力について誠実に相談すれば、柔軟な支払いプランを提示してくれる可能性があります。
必ず契約前の段階で、分割払い(何回まで可能か、手数料の有無)や作業完了後の後払い(支払期限はいつか)といった条件を確認しましょう。
口約束はトラブルの原因となるため、合意した支払い条件は必ず見積書や契約書に明記してもらってください。また、相続人として支払うのか、オーナーとして支払うのか、支払い名義人と請求先を明確に一致させておくことも大切です。
1.2 故人の相続財産から支払う
故人に預貯金や有価証券などの相続財産が残っている場合、そこから特殊清掃費用を捻出するのが最も基本的な方法です。
相続人が複数いる場合は、後のトラブルを避けるため、誰がどの費用を立て替えたかを明確にする領収書を必ず保管しておきましょう。そうすることで、遺産分割協議(相続人同士の話し合い)の際に、正確に精算できます。
ただし、この方法には相続放棄の選択肢を失うという重大な注意点があります。故人に借金があるかもしれない場合、この方法を取ると後から相続放棄が認められなくなるリスクがあるためです。このリスクについては、第2章で詳しく解説します。
1.3 火災保険や孤独死保険を適用できないか確認する
高額な特殊清掃費用も、故人やオーナーが加入している保険契約を確認することで、負担を軽減できる可能性があります。
賃貸物件の場合、入居時に契約する火災保険に付帯した借家人賠償責任保険や、オーナー側が加入する孤独死保険などが、室内の汚損や原状回復費用を補償対象としている場合があるためです。
まず、故人が契約した火災保険の証券を探し、借家人賠償責任保険の特約内容を確認しましょう。同時に、管理会社やオーナーへ連絡し、物件側で孤独死保険や家賃債務保証保険などに加入していないか、清掃費用を補償する特約がないかを問い合わせます。
ただし、保険適用には上限額や免責金額(自己負担額)、適用条件(発見までの日数など)が定められているため、全額がカバーされるとは限りません。保険金の受取人がオーナーなのか相続人なのか、実際に費用を支払う人を誰にするのかも、事前に明確にしておく必要があります。
1.4 金融機関からの借り入れを検討する
業者との交渉が難しく、保険も適用できない場合の最終手段として、金融機関からの借り入れも選択肢の一つとなります。
特殊清掃は早急な対応が必要となるケースが多く、分割払いなども断られれば、一時的にまとまった現金を工面せざるを得ないためです。借り入れ先としては、銀行のフリーローンやカードローンが考えられますが、金利が高くなる傾向にある消費者金融の利用はより慎重に検討する必要があります。
借り入れは当然ながら利息が発生するため、返済計画は慎重に立てましょう。もし返済の目処が立たない高金利の借り入れに追い込まれそうであれば、無理に借りるのではなく、他の選択肢(相続放棄や清掃前の売却)を真剣に検討すべき状況と言えるでしょう。
1.5 自治体の補助金・支援制度を利用する
残念ながら、「特殊清掃そのもの」を対象とした補助金は、国・自治体ともにほとんど存在しないのが実情です。しかし、別の目的の制度を結果的に活用できる可能性はあります。
自治体によっては、空き家対策や環境保全(ゴミ屋敷対策)の一環として、家屋の片付け費用の一部を助成する制度を設けている場合があります。これらの制度の対象経費に「清掃・ごみ撤去費」が含まれていれば、特殊清掃費用の一部に充当できるかもしれません。
ただし、これらの補助金は「空き家バンクへの登録」や「老朽家屋の解体」が条件となっている場合が多く、利用のハードルは高い傾向にあります。
また、新宿区のように、一定条件のもとで、少額短期保険(孤独死保険・入居者死亡保険」や火災(家財)保険の一部を助成する制度を設けている自治体もありますが、これは清掃費用そのものの給付ではない点に注意が必要です。
参照:新宿区『火災(家財)保険の一部を助成します』
したがって、まずは「生活困窮者支援」や「高齢者福祉」の観点から支援を探すのが現実的です。「特殊清掃の補助金」と決め打ちで探すのではなく、お住まいの市区町村の福祉課、または社会福祉協議会の窓口で事情を説明し、利用できる貸付制度や支援事業がないか相談してみましょう。
【解決策2】相続放棄する

故人に借金がある可能性や、清掃費用が高額で支払いが困難な場合、「相続放棄」も選択肢の一つです。ただし、厳格な期限とルールがあるため、詳しく解説します。
出典:裁判所『相続の放棄の申述』
2.1 相続放棄は「故人の負債をすべて放棄する手続き」
相続放棄とは、家庭裁判所に申述することで、故人のプラスの財産(預貯金や不動産)も、マイナスの財産(借金や損害賠償義務)も一切引き継がないと法的に意思表示する手続きです。
特殊清掃費用は、賃貸借契約上の原状回復義務や不法行為責任に基づく費用として問題となることが多く、相続放棄が受理されれば、相続人としての支払い義務は原則として消滅します。
相続放棄をすると、預貯金や不動産だけでなく、借金や特殊清掃の費用、その他の未払金などもすべて手放すことになります。手続きには戸籍謄本など多くの書類が必要で、家庭裁判所への申述が必要なため、専門家に相談することをおすすめします。
ただし、相続人としての立場とは別に、ご自身が個人として故人の賃貸契約の連帯保証人として署名している場合は、支払い義務が残る可能性があるので注意が必要です。
2.2 相続放棄には「3ヶ月」の期限がある
相続放棄は、3ヶ月の期限内であっても、故人の財産に手をつけてしまうと認められなくなるおそれがあるため、注意しなければなりません。
この期間を過ぎてしまうと、原則として相続放棄は認められず、自動的にすべての財産と負債を相続したこととみなされてしまいます。
高額な特殊清掃費用の見積もりに悩み、故人の財産調査(他に借金がないかなど)が遅れている間に、この3ヶ月の期限を過ぎてしまうリスクがあります。もし3ヶ月以内に財産状況の把握が難しく判断できない事情がある場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てる制度もありますが、手続きには専門的な知識も必要です。
したがって、費用が払えず相続放棄を少しでも検討するなら、1日でも早く専門家へ相談しましょう。
出典:裁判所『相続の承認又は放棄の期間の伸長』
2.3 相続放棄が認められなくなる「相続財産の処分」とは?
相続放棄は、3ヶ月の期限内であっても、故人の財産に一度でも手をつけてしまうと認められなくなるため、注意しなければなりません。
なぜなら、故人の財産を使う行為は、「自分は財産を引き継ぎます」と認めた(=単純承認した)と、法律上みなされてしまうためです。
最も注意すべきなのが、第1章で触れた「故人の預貯金口座から現金を引き出して、特殊清掃費用に充てる」という行為です。そのほか、「故人の遺品や家財を勝手に売却して現金化する」といった行為も同様です。
もしこうした行為の後に故人の多額の借金が発覚しても、相続放棄が認められず、借金もすべて背負うことになりかねません。相続放棄の選択肢を残すなら、故人の財産には一切手を付けないほうが良いでしょう。
2.4 相続人全員が放棄した場合、費用は誰が払う?
相続人全員が相続放棄をした場合、相続人としての支払い義務はなくなり、最終的に賃貸物件のオーナー(大家)などが費用を負担せざるを得ないケースが多いです。
法律上は、特殊清掃費用は故人の債務として遺産から支払われるべきものです。相続人が全員放棄した場合は、家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、故人の財産から清算手続きを行うのが本来の流れです。しかし、実際には故人に清算できるほどの財産が残っていない場合も少なくありません。
その結果、部屋を原状回復しなければ次の賃貸募集ができないという事情から、オーナー側が現実的な対応として、自ら費用を負担するケースが多くなっているのが実情です。
【解決策3】清掃せずに売却する

清掃費用を立て替えるのが難しい場合、清掃やリフォームを行わず「現状のまま」物件を売却する方法もあります。事故物件専門の買取業者を利用する際のメリットとデメリットを見ていきましょう。
3.1 事故物件専門の買取業者なら現状のまま売却できる
相続した事故物件を売却したいものの、高額な特殊清掃費用が払えない場合、事故物件専門の買取業者へ「現状のまま」売却することを検討しましょう。
一般的な不動産仲介会社は、売主の負担で清掃・残置物整理などを求められることが多いです。一方、事故物件専門の買取業者は、特殊清掃や遺品整理が未実施で、荷物や臭いが残った状態でも、そのまま買い取ってくれます。
3.2 買取のメリット:清掃費用の負担や近隣対応が不要になる
買取業者に事故物件を売却することには、金銭的・精神的な負担を大幅に軽減できるという大きなメリットがあります。
最大の利点は、高額な特殊清掃費用やリフォーム費用を、売主が負担しなくていい点です。買取業者が清掃・リフォームにかかるコストをすべて見越した上で買取価格を提示するため、売主は売却代金を受け取るだけですみます。
売主自身が特殊清掃をしなくて良いということは、清掃業者の手配や相見積もり、遺品整理、廃棄物処理といった複数の業者とのやり取りが不要ということです。また、臭いや害虫などで近隣住民へ挨拶回りや説明を行うといった、精神的な負担からも解放されます。
3.3 買取のデメリット:売却価格が相場より安くなる
買取業者を利用する最大のデメリットは、通常の不動産市場で売却するよりも、売却価格が安くなる点です。
これは、買取業者が「特殊清掃費用」「リフォーム費用」といった再生コストのほかに、将来事故物件として再び販売する際に、安くしないと売れない可能性なども、すべて買取価格に織り込んでいるためです。
目安として、市場価格より大きく下回るケースが多いとされていますが、実際の価格は物件の立地や事故の状況によって大きく変動します。もし住宅ローンが残っている場合、売却価格がローン残高を下回る(オーバーローン)可能性もありますので、その際は金融機関への相談も必要です。
特殊清掃の費用負担と相場の目安
高額な見積もりを前に、「この金額は妥当なのか」「法的に誰が支払うのか」は、はっきりさせておきたい点だと思います。この章では、費用の負担に関するルールと、料金相場の目安について解説します。
4.1 費用の支払い義務は「相続人」または「連帯保証人」
特殊清掃費用の支払い義務は、法律上はまず「借りていた故人本人」にあります。しかし、故人が亡くなっているため、その義務は契約内容や相続の状況に応じて「連帯保証人」または「相続人」が法的に引き継ぐことになります。
なぜなら、特殊清掃費用は賃貸借契約上の原状回復義務に関係する費用として扱われることが多く、その責任は故人が負っていたためです。故人が亡くなった場合、相続放棄をしない限り、相続人がその責任も引き継ぐことになります。
しかし実際のところは、賃貸契約書に連帯保証人がいる場合は、故人と同じ責任を負うため、先に連帯保証人に請求が行われるケースも見られます。連帯保証人がいない場合や、保証契約が存在しない場合には、相続人に請求が行われるという流れです。
ただし、老衰など過失のない自然死の場合、どこまで元に戻す責任を負うかはケースバイケースであり、裁判例でも判断が分かれる点には注意が必要です。
4.2 特殊清掃の費用相場
業者から提示された見積もりが妥当か判断するために、特殊清掃の費用相場を把握しておきましょう。
| 間取り | 費用相場 |
|---|---|
| ワンルーム・1K | 3万円 ~ 20万円 |
| 1LDK・2K | 10万円 ~ 30万円 |
| 2LDK・3K | 10万円 ~ 30万円 |
| 3LDK以上 | 20万円以上 |
金額は現場の状況によって大きく変動するため、あくまで目安として捉えることが重要です。
なぜなら、費用は間取りだけでなく、「どこまでの作業が必要か」で決まるためです。基本的な除菌・消毒作業のほかに、強力なオゾン脱臭や床材の張り替え、あるいは遺品整理も同時に頼むとなれば、その分費用は相場よりも高額になります。
4.3 費用が高額になるケース
前の項目で触れたように、費用は作業範囲によって大きく変わります。特に高額になりやすいのは、故人の発見が遅れてしまったケースです。
発見までの日数が経過すると、汚染や臭いが部屋の表面だけでなく、床下や壁の内部まで浸透してしまうためです。
そうなると、表面的な除菌・消臭作業だけでは終わらず、床材や壁紙(クロス)をすべて剥がして交換したり、場合によっては大規模なリフォーム作業が必要になったりします。特に夏場は腐敗が進みやすく、害虫が大量発生している場合なども、作業が複雑になり費用がかさむ原因となります。
逆に言えば、発見が早く、汚染が局所的であれば、作業も最小限で済み、費用も相場の下限程度で収まる可能性が高くなります。
まとめ:特殊清掃費用に悩んだらまずは物件の査定を!

事故物件の売却相場についてのまとめ
- 特殊清掃費用が払えない場合の選択肢は、「①支払う方法を探す」「②相続放棄する」「③清掃前に売却する」の3つ
- 相続放棄をするには、財産には触れず3ヶ月以内に手続きする必要がある
- 買取業者への売却であれば、特殊清掃をせずに物件を手放せる
- 特殊清掃費用は、相続人か連帯保証人に請求されることが多い
- 判断に迷ったら、弁護士や専門の買取業者に相談する
特殊清掃費用が高額だった場合、どの方法が最適かは、故人の負債の状況や、相続人の状況によって異なります。そして特に相続放棄を検討する可能性がある場合は、期限が決められているということもあり、一人で判断して抱え込むのは危険です。
もし「相続放棄すべきか」「売却すべきか」と判断に迷っていたり、清掃前の状態での売却について詳しく知りたい場合は、ぜひラクウルにご相談ください。事故物件の取り扱いに精通した専門家として、あなたの状況に最適な解決策を一緒に考えます。
「相続放棄すべきか」「清掃前に売却すべきか」―。 専門的な判断が必要で、一人で決めるのは難しいかもしれません。
ラクウルは、こうした事故物件の対応実績が豊富です。 売却ありきでなく、お客様の状況にとって「相続放棄」と「売却」のどちらが最適か、法的な視点も含めてアドバイスいたします。
まずは「売ればいくらになるのか」を知るだけでも、次の大きな判断材料になります。
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この記事のまとめQ&A
特殊清掃費用が払えない場合、どんな解決策がありますか?
払えない場合でも選択肢があります。①支払う方法を探す(分割払いや後払い、相続財産の活用、保険・支援制度の確認、借入) ②相続放棄する(故人の負債・義務を引き継がない手続き) ③清掃せずにそのまま売却する(現状のままで事故物件専門の買取業者へ)という3つの方法が紹介されています。
特殊清掃費用を支払う方法を探す際、どんな手段がありますか?
具体的には、①清掃業者に分割払いや後払いを相談する、②故人の相続財産を活用する、③火災保険・孤独死保険など保険契約の活用、④金融機関からの借り入れ検討、⑤自治体の補助・支援制度を利用する、という5つの手段があります。
相続放棄をする場合、どのような注意点・手続きがありますか?
相続放棄とは、故人のプラス・マイナス財産をすべて引き継がない手続きです。手続きには原則「相続人が相続開始および自分が相続人であることを知った時から3 ヶ月以内」の申述が必要です。また、故人の財産を一度でも処分・使用すると「単純承認」とみなされ放棄が認められなくなるため、財産に触れないよう注意が必要です。
事故物件を清掃せずにそのまま売却する場合のメリット・デメリットは?
メリットとして、清掃費用や遺品整理、近隣対応といった手間・負担を軽減できる点があります。一方、デメリットとしては、一般の仲介市場より売却価格が低くなる可能性が高いという点が挙げられています。特に「事故物件を専門業者に現状で売る」方法では買取額が相場より大きく下がるケースも示されています。
特殊清掃費用の支払い義務は誰にありますか?また、清掃費用の相場はどれくらいですか?
法律上、清掃費用の支払い義務はまず「借主(故人)」にありますが、故人が死亡している場合、原則として「連帯保証人」または「相続人」がこれを引き継ぐことになります。また、清掃費用の目安としては間取り別に「ワンルーム・1Kで3~20 万円」「1LDK~2Kで10~30 万円」「3LDK以上では20万円以上」といった相場が紹介されており、発見が遅れて床下・壁内部にまで影響があるケースではさらに高額になるとされています。




