コラム

風呂で親の孤独死を発見したら?初動対応から事故物件の処分方法まで

親の孤独死という突然の悲しみの中、「お風呂で亡くなっていた」という状況に、強いショックと恐怖を抱えられていることとお察しします。

そのような状態で「何かしなければ」と焦る気持ちは当然ですが、遺族が無理をして現場に立ち入り、自力で清掃する必要は一切ありません。まずは現場の状況を見極め、警察や専門業者の指示を受けながら、必要な初動対応だけを行うことが重要です。

本記事では、警察の現場確認後にやるべき初動対応から、状況に応じた「特殊清掃(一次処理)」の必要性、そして事故物件となった家を今後どう処理すべきかという選択肢まで詳しく解説します。

※なお、本記事には実際の現場写真などは一切掲載しておりませんので、どうぞ安心して読み進めてください。

 

この記事でわかること

  • 浴室で孤独死を発見した直後に、やってはいけないこと
  • 警察の現場確認が終わった後、遺族がまず判断すべきこと
  • 特殊清掃を「急いで手配すべきケース」と「待ってよいケース」の違い
  • 事故物件となった家の処分方法と、それぞれの費用・リスク
  • 清掃費用の負担を抑えて、事故物件をそのまま手放す方法

パニックにならないで!風呂で孤独死を発見した直後にすべきこと

風呂で孤独死を発見しパニックになっているが冷静に対応しようとしている女性のイラスト

お風呂場で親族が亡くなっているのを発見した場合、気が動転して「とにかく早く何とかしなければ」と焦ってしまうのは当然のことです。

しかし、誤った初動をとってしまうと、警察の捜査に支障をきたしたり、後から取り返しのつかない二次被害を引き起こしたりする恐れがあります。

まずは落ち着き、以下の基本を守って行動してください

1-1. まずは警察に通報・指示があるまで中に入らない

自分で生死の判断がつかない場合は救急車(119番)を呼び、明らかに亡くなっているとわかる場合は警察(110番)へ通報してください。

救急車を呼んだ場合でも、救急隊員によって死亡が確認されれば、事件性の有無を調べるために警察が呼ばれます。

警察による現場確認が終わるまでは、遺族であっても部屋への立ち入りや遺体・現場の物に触れることは避け、警察の指示に従ってください。事件性がないと判断されるまでは、むやみに現場に足を踏み入れないようにしましょう

1-2. お湯を抜く・換気扇を回すのは厳禁。自己判断で触らない

パニック状態になると「早く綺麗にしてあげたい」「臭いをどうにかしたい」と、自己判断で現場を動かしてしまいがちですが、以下の行為は避けてください。

浴槽のお湯(栓)を抜く

早く綺麗にしようと浴槽の栓を抜くのは厳禁です。風呂での孤独死は、お湯や自動保温機能の影響で通常の孤独死より腐敗の進みが早く、体液や脂肪分が溶け出した状態になっていることがあります。

このお湯に溶け出した脂肪分は、冷えると固まることがあり、そのまま流すと配管内で凝固して詰まりを引き起こす恐れがあります。

最悪の場合は、床を剥がして配管を交換するなど、大規模な工事(数百万円規模)が必要になってしまいます。

換気扇を回す・窓を開ける

臭いを逃がそうとして換気扇を回したり窓を開けたりするのも避けましょう。強い悪臭が周囲に広がることで、近隣トラブルへと発展する恐れがあります。

自己判断で現場に触れることは、状況をさらに悪化させる可能性があります。まずはそのままの状態で、警察や専門業者の到着を待ちましょう。

 

状況に合わせて判断する「特殊清掃(一次処理)」の要否

特殊清掃(一次処理)の要否に迷う男性のイラスト

警察による現場確認が終わり、事件性がないと判断されて遺体が引き取られると、遺族は部屋への立ち入りや清掃などの手配ができるようになります。

その後、まず直面するのが「浴室をどうするか」という問題です。風呂場での孤独死は通常より腐敗が進みやすいケースもあるため、「すぐに特殊清掃業者を手配しなければ」と焦ってしまうかもしれません。

ただし、必ずしも発見後すぐに清掃を行う必要があるとは限りません

発見までの日数や汚損の程度、そして「今後この家をどうするつもりか(住むのか、手放すのか)」によって、すぐに特殊清掃を手配すべきか、それとも一旦様子を見るべきかの判断は異なります。

2-1. 臭気や汚損が強い場合は早めに「一次処理」を手配する

浴室内の臭気が強い場合や、体液などの汚損が浴槽の外まで及んでる場合は、近隣トラブルや階下への影響を防ぐための応急処置として、早めに特殊清掃業者へ一次処理(初期の消臭・除菌・汚染物の除去など)を依頼しましょう

具体的には、以下のような状況であれば、一次処理を早めに検討すべきです。

  • 臭いが強い
  • 汚損が浴槽内にとどまらず、床や壁、排水まわりに及んでいる
  • 近隣やマンションの共用部への影響が心配される
  • 害虫や漏水など、二次被害のおそれがある

完全な原状回復には高額な費用がかかることもありますが、一次処理だけであれば数万〜十数万円程度で対応できるケースもあります。

ひとまず一次処理を行い、悪臭や害虫の拡散を抑え、人が安全に入室できる状態を作ることで、この家を今後どうするかを落ち着いて考える時間を確保できます。

 

2-2. 汚損や臭気が限定的な場合は一次処理を急がない

一方で、状況によっては、そのままの状態で一旦保留にしておいた方が、結果的に無駄な出費を抑えられることもあります。

具体的には、以下のようなケースでは一次処理を急ぐ必要はありません。

  • 発見が比較的早い
  • 汚損が限定的である
  • 臭気の広がりが強くない
  • まず家を残すか手放すかを決めたい段階である

近隣トラブルに発展するような強い悪臭や深刻な汚損がないことが前提となりますが、今後の家の扱い(住むのか、売却するのかなど)がまだ決まっていない段階や、すでに「手放す可能性が高い」と考えている場合には、焦って一次処理を依頼する必要はありません。

「とりあえず綺麗にしなければ」と費用をかけた後に、最終的に「現状のまま買取業者に売却する」と判断した場合、その費用は結果的に無駄になってしまうためです。

一方で、緊急性がないと判断した場合でも、「この家をこれからどうするか」という問題には必ず向き合うことになります。次の章では、事故物件となった家の扱い方を見ていきましょう。

 

事故物件となった家の3つの選択肢

事故物件の処分方法を説明するスーツ姿の担当者のイラスト

一次処理でひとまず状況を落ち着かせたとしても、「特殊清掃やリフォームにどれくらいの費用がかかるのか」「このままの状態で手放せるのか」など、先行きに不安を感じる方も多いでしょう。

事故物件となった家の今後の扱い方には、大きく分けて以下の3つの選択肢があります。

選択肢①:特殊清掃とリフォームをして「住む・貸す」
選択肢②:特殊清掃を行ってから一般市場で「売却する(仲介)」
選択肢③:清掃せずに専門業者へそのまま「売却する(買取)」

それぞれにメリット・デメリットがあり、「どれだけ費用をかけられるか」「売却までのスピード」「売却後のリスクをどこまで抑えたいか」といった観点によって最適な選択は異なります。ご自身の状況に照らし合わせながら、無理のない方法を検討していきましょう。

3-1. 選択肢①:特殊清掃とリフォームをして「住む・貸す」

1つ目は、特殊清掃やリフォームによって原状回復を行い、遺族がそのまま住む、あるいは賃貸物件として貸し出す方法です。

 

メリット

  • 家を手元に残せる
  • 賃貸に出せば家賃収入を得られる可能性がある

デメリット

  • 数百万円規模の費用がかかる場合がある
  • 現場の記憶が残り続ける

家をそのまま手元に残せる点では、3つの選択肢の中で唯一の方法です。ただし実現するには、費用面のハードルを越える必要があります。

日本少額短期保険協会の「第10回 孤独死現状レポート」によると、孤独死に伴う原状回復費用の平均は約49万円、遺品整理費用は約29万円とされています。ただしこれはあくまで平均値であり、浴室での死亡事故では浴槽の解体や配管交換など大掛かりな工事が必要になるケースもあり、総額が数百万円を超える可能性もあります

さらに、高額な費用をかけて修繕したとしても、賃貸に出す場合は注意が必要です。国土交通省のガイドラインでは、特殊清掃等が行われた自然死などについて、事案の発覚から概ね3年間は借主に告げる必要があるとされています。いわゆる「告知義務」にあたるため、事故物件であることを伝えることで、入居者がつきにくくなったり、家賃を下げざるを得なくなったりする可能性があります。そのため、修繕費用を家賃収入で回収するのが難しい場合もあります。

精神的な負担も見落とせません。ご自身が住む場合、亡くなった場所や発見時の状況を思い出し、日常生活の中で心理的な負担を感じることがあります。

資金に余裕があり、どうしてもその家を残したい明確な理由がある方には検討の余地があります。一方で、多くのご遺族にとっては、費用面・収益面・精神面のいずれかで大きな負担を伴う選択肢であることも確かです。

3-2. 選択肢②:特殊清掃を行ってから「一般仲介で売却する」

2つ目は、不動産会社に仲介を依頼し、一般の買主に向けて売り出す方法です。「不動産を手放す」と聞くと、この方法をイメージする方が多いでしょう。

 

メリット

  • 買取を利用するよりも、高い価格で売れる可能性がある

デメリット

  • 特殊清掃費用やリフォーム費用は基本的に売主負担になる
  • 売却後も契約不適合責任を問われるリスクが残る

一般の不動産市場で売り出す最大の魅力は、買取より高い価格を狙えることです。ただし事故物件である以上、ある程度価格を下げないと買い手がつきにくいケースもあります。値下げ幅は物件の状況や立地によって異なりますが、目安として通常の相場から3〜5割程度下がることも珍しくありません。

 

また、一般の買主に向けて内見を行うには、事前に特殊清掃やリフォームを自費で行わなければなりません。仮に数百万円の費用を先行して負担したとしても、売却価格が下がる以上、かけた費用を必ずしも回収できるとは限りません。

さらに売却後も、引き渡した物件に不具合が生じた場合は「契約不適合責任」を問われる可能性が残ります。死臭の再発や設備の不具合など、予期せぬトラブルが問題になるリスクは、売却後もしばらく続く可能性があります。

このように、一般仲介は手間とリスクが伴う方法ではあります。一方で、立地や物件の状態によっては買取より有利な条件で売れるケースもあるため、「できるだけ高く売りたい」「時間的に余裕がある」という方には、有力な選択肢になることもあります。最終的には、次にご紹介する買取という選択肢と比較しながら判断するとよいでしょう。

 

3-3. 選択肢③:清掃せずに「専門の買取業者へそのまま売却する」

3つ目は、事故物件を専門に扱う買取業者に直接買い取ってもらう方法です。

 

メリット

  • 特殊清掃費用やリフォーム費用の自己負担を抑えやすい
  • 売主の契約不適合責任は免責とされるケースが多い

デメリット

  • 一般仲介での売却より価格が安くなる

専門の買取業者は、買い取った後に自社で修繕・再生を行うプロです。だからこそ、特殊清掃や遺品整理が手付かずの現状有姿のまま引き渡しても、問題なく対応してくれます。必要な清掃・リフォーム費用はあらかじめ買取価格に織り込まれるため、遺族が数十万〜数百万円を立て替える必要がありません。

「相場より安くなる」というデメリットは確かにあります。ただ、それはすべてのリスクを業者側が引き受けるからこそ生まれる価格差です。その裏返しとして、売主の契約不適合責任は免責となるのが一般的で、売却後に思わぬクレームや損害賠償を求められる心配がなくなるでしょう。

パニックと疲労の中で、「一刻も早くこの重圧から解放されたい」と願うご遺族にとって、精神的にも金銭的にも負担が最も少ない、現実的な選択肢の一つです。

 

まとめ:事故物件の処分、何から手をつければいいかわからない方へ

事故物件の相談対応をするスーツ姿の担当者のイラスト

 

お風呂場での孤独死についてのまとめ

  • 発見直後は栓を抜く・換気扇を回すなどの自己判断は避け、警察の指示に従うことが最優先
  • 特殊清掃の手配は、臭気や汚損の程度と今後の家の扱い方によって判断するのが賢明
  • 修繕・一般売却・買取の3択のうち、費用負担と売却後リスクを抑えたい場合は、買取が現実的な選択肢になり得る
  • 一般仲介は高値を狙える一方、事前費用の負担と契約不適合責任のリスクが残る
  • 「まだ何も決めていない」段階でも、無料査定・相談だけの問い合わせから始めることができる

浴室での孤独死を発見しても、まずは落ち着いて警察の指示に従いましょう

その後の一次処理は、近隣への影響など緊急性が高ければ早急に手配をします。一方、家を手放す可能性が高く、急を要さない場合は、無駄な出費を避けるためにいったん保留にするのが賢明です。

家の処分には「修繕して活用」「一般売却」「買取」の3つの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、事前の高額な費用負担や売却後のトラブルを避けたいなら、現状のまま手放せる「買取」が、状況によっては最も負担の少ない選択肢になり得ます

一人で抱え込まず、まず相談だけでも

突然の出来事の直後は、何が正解かわからないまま、時間だけが過ぎていくことも少なくありません。「まだ何も決めていない」「本当に買い取ってもらえるのか不安」そんな段階でも、話を聞いてもらうだけで、次に何をすべきかが見えてくることがあります。

事故物件買取専門店【ラクウル】では、特殊清掃が未実施の状態でも現状のまま査定・買取が可能です

査定は無料、相談だけでも歓迎しています。まずは一度、気軽にご連絡ください。

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監修者

水野 崇

水野 崇

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宅地建物取引士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本証券アナリスト協会検定会員補。
日本FP協会の相談員として全国1,000件以上の「暮らしとお金」相談に対応した実績を持ち、不動産と資産運用の両面から最適解を導く専門家。
学校法人や事業法人にて講師を務め、年間80回以上登壇。

この記事のまとめQ&A

浴室で孤独死を発見した場合、遺族が自分で清掃する必要はありますか?

いいえ、遺族が無理をして現場に立ち入り、自力で清掃する必要はありません。まずは警察の現場確認を優先し、その後に状況を見極めたうえで対応を検討することが重要です。

警察の現場検証が終わった後、まず何をすべきですか?

警察の現場検証後は、現場の状態を確認し、特殊清掃が必要かどうかを判断することが重要です。焦って作業を進めるのではなく、状況に応じた適切な対応を検討する必要があります。

特殊清掃はすぐに手配すべきですか?

特殊清掃は必ずしもすぐに手配する必要はなく、現場の状況によって判断が異なります。急いで手配すべきケースと、状況を見てから判断してよいケースがあるため、まずは状態を確認することが大切です。

事故物件になった家はどのように処分できますか?

事故物件となった家については、今後の状況に応じて複数の処分方法があります。それぞれ費用やリスクが異なるため、自身の状況に合った方法を選ぶことが重要です。

清掃費用を負担せずに事故物件を手放すことはできますか?

はい、事故物件の状態のままで専門の買取業者に売却することで、清掃費用を事前に負担せずに手放す方法があります。この場合、清掃費用は売却価格から調整される形で処理されることが一般的です。

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